奈良医大胸部・心臓血管外科のホームページをご覧いただき有難うございます.入局4年目の吉川大貴です.当科では成人の後天性心疾患,血管疾患,呼吸器疾患,先天性心疾患の外科治療を行っており,私は主に呼吸器外科領域を担当しています.
さて,将来の進路に悩んでおられる研修医の先生や学生さんも多いのはないでしょうか.私事ですが,物心がついた頃から外科医になりたいと思い,医学部に入学しました.外科といっても様々分野がありますが,どれも素敵に感じ何科に進むかは最後まで決め切れなった学生・研修医時代でした.そのなかでvital organの手術である,肺外科に魅せられて進路を決めました.現在,肺癌は日本人の癌死ワーストでありながら,早期で手術介入した症例に関しては良好な成績が得られています.しかしそこには,拍動する心臓と直接つながった肺動静脈を扱い,空気漏れを起こさず肺や気管支を切離する高度な外科手技が欠かせません.
外科医不足といわれていますが,呼吸器外科専門医は全国に1,300人程度と,とても充足しているとは言い難い現状です.当科でも呼吸器外科の卒後10年目以下の若手は私だけです.奈良医大で肺癌手術をメインに年間200例以上の手術症例を経験できます.また毎週関連病院での手術に参加することで,大学では経験することが少ない良性疾患や,異なったアプローチの手術もバランスよく経験することができます.大学医局であるので学会発表や論文執筆,学位取得が充実していることはもちろん,外科研修(腹部一般外科領域)や希望するハイボリューム施設への留学希望も叶う自由な風土があります.また女性の先生方など,ご自身のライフプランに合わせた働き方が可能です.都会の大医局と違い,小さな医局ではありますが,心血管グループの先輩とも和気藹々と良好な人間関係で仕事ができ,小回りの利く環境です.
一人前までの道のりは長いですが,初めて手術に入らせてもらい,糸結びをし,その患者さんが無事退院されたあの感動を忘れることなく,日々精進しています.初執刀した時や,肺葉切除を完遂した時の嬉しさはひとしおです.「外科って大変そう,心外や呼外ってすごく特殊,怖そう.」と思っておられる方はぜひ一度見学にいらしてください.思っているよりハードルは高くありません.皆様と一緒に働ける日を楽しみにしています.